建築の島

建築とマンホールデザインのブログ

ヴォーリズの西洋館 日本近代住宅の先駆

ヴォーリズの西洋館 日本近代住宅の先駆』
 山形政昭著  淡交社 

ヴォーリズの西洋館―日本近代住宅の先駆

ヴォーリズの西洋館―日本近代住宅の先駆

 

 

今までは「良い建築がある」と聞けば、そのままパーッとその街に飛んで行きましたが、そのやり方だと色々見落としてしまう事にさすがに気付きまして。今更ですが、関連書籍を読んでおこうと思いました。

 


本書の前半は、ヴォーリズと彼の建築事務所が手がけた建築の紹介(再生したものも含む)。居住した西日本だけでなく、軽井沢や静岡、東京など、東日本にも手がけた建築がある。改築の跡や、(代替わりや、所有者がそっくり変わったりして)現在の住人も知らない家の来歴などをひもといていく。最初の住人にキリスト教関係者や学校関係者(それもミッション・スクール)が多いのは、時代背景からだろう。

後半は、ヴォーリズの生涯について紹介し、建築事務所や近江兄弟社の社員たちについてもふれている。巻末に建築のリストがついていて、見ていたら、過去に見に行った各地の洋風建築が、実はヴォーリズの設計だったと気付いた(もったいない……)。

 

リストにあった東京千代田区の麹町・平河町の建物だが、これと似た建築を近くの三番町で見た気がする。会社の近所にあったレストランで、その後取り壊されて、現在はマンションならぬ億ションが建っている。一度だけランチに行ったことがあるが、もうレストランの名前も覚えていないし、木造和館がついている点が一致しないので、私の勘違いかも。

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コロニアル、チューダー、スパニッシュなど、建築様式についても簡単な解説がついており、初心者にはとてもありがたい。

ヴォーリズ夫人である一柳満喜子さんの兄恵三は、廣岡家に婿入りしたという記述があるが、朝ドラ「あさがきた」に登場した廣岡家のこと。関西でもトップクラスの実業家と親戚になったわけで、華麗なる一族だったんだな。

本書で写真付きで紹介されているのはごく一部。リストを参考に、一般公開されている建物だけでも見に行ってみようか。