建築の島

建築とマンホールデザインのブログ

新美の巨人たち 日光金谷ホテル

 

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www.tv-tokyo.co.jp「新・美の巨人たち」の夏の建築シリーズ、録画しておいたものを視聴。もちろん、日光金谷ホテル以外の箱根富士屋ホテル(建築専攻の田中卓志さんの再登場が嬉しい)とか、横浜シリーズも見たのだが、特に日光金谷ホテルが気になった。

 

明治時代初期、外国人の避暑地として、日光や軽井沢、箱根でリゾート開発というか、西洋風ホテルの営業が始まった。日光金谷ホテルの創業者・金谷善一郎の長男が後継ぎになり、次男は箱根富士屋ホテルを経営する山口家に婿入りし、こちらも大活躍したという。番組に登場した旅行作家の山口由美さんは、この山口家の子孫にあたる。

初代の金谷善一郎もすごいが、二代目の金谷真一も名経営者でアイデアマン。電話、自動車など、新しいものが登場するとどんどん取り入れ、他のホテルと差別化を図る。後に東京の帝国ホテルの経営を任されるのも納得。

建築の方も、明治大正の頃に、当時としては斬新な仕掛けを取り入れていて驚く。バンケットルームは吊り天井工法を使い、柱のない広い空間を実現。コーナーツインルームは、大きな窓で外の景色を絵画のように眺められる。安全性と強度も考え、内側に障子戸と木戸を設けている。

東照宮のそばにあるだけでなく、外国人観光客を意識して、内部もあんなに「和」を意識した内装になっているとは知らなかった。西洋スタイルをさんざん見てきた今の日本人が見ても、とても新鮮に感じるだろう。


日光は子供の頃から何度も訪れ、大人になってからは建築巡りもしたけれど、ほとんどが日帰り。宿泊したのは大学の合宿とか(バブル経済がはじける前は、東京の企業や大学が保養所を持っていたのだ)、友達と遊んだ時とか、ほんの数回ほど。

しかも、日光金谷ホテルだと、いくら文化財建築があると言われても、宿泊客でもないのに敷地には入りずらい。ランチ利用でレストランに入ったこともない(建築オタクでもない友達に提案しても、たぶん「高いわ~」と却下されただろう)。

以前は、宿泊客向けに館内ツアーが実施されていて、建築の見どころを従業員にガイドしてもらいながら見学できたらしい。現在は、宿泊は可能だけれど、ツアーの再開はだいぶ先になるだろう。その頃になったら、一度泊まってみようかな。


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