建築の島

建築とマンホールデザインのブログ

ふるカフェ系 ハルさんの休日SP 台湾

www.nhk.jp

録画しておいたものを視聴。
「どうやって台湾でロケしたんだろう?」と思っていたら、台湾の建築ブロガー「ハリーさん」が本家ハルさんに代わって台北市内のふるカフェ巡りをしていたのだった。

 

台湾には「日式建築」と呼ばれる日本統治時代のレトロ建築が残っていて、最近ではリノベーションしてカフェやレストランに再利用されているとか。建築ブームの立役者の一人は、なんと日本人建築家・渡邊義孝さんで、『台湾日式建築紀行』本も出しているという(調べたけど、日本語では出ていないもよう。イラストのコメントは日本語のようだが……)。


1軒目は松山にある「静心苑」。日本統治時代、軍人が多く住んでいた地域だという。かつて結核患者の療養所が近くにあり、この建物は所長宅だったとか。1935年の建築。

伝統的な日本建築に見えるが、高温多湿の台湾に合わせた工夫があちこちにある。出窓の下にも窓があり、トイレ(かつては風呂場)の折上天井にも通気口がある。他には、煉瓦の基礎を高くして、木造建築を湿気とシロアリから守る工夫が。この湿気対策の方法・仕様は違えど、京都の「聴竹居」(こちら)を思い出してしまった。あれも京都の夏の暑さ・冬の寒さ対策をしてあった。

カフェでは、修復に携わった現地の建築家・蔡孟哲さんも登場。子供の頃、遊びに行った祖父の社宅が日式建築で、なじみがあったという。建物の修復工事は台北市から大きな期待が寄せられ、大変だったという。台湾は雨が多く、木の傷みが激しいので、苦労もあったよう。

建築当時もだけど、現代の修復工事でも、日本の木造建築をいかに台湾の気候風土に合わせるかという、日本と台湾の建築家、職人の工夫があったのだ。この辺の苦労は「美の巨人たち ホテルコンチネンタル サイゴン」(こちら)にも通じるなあ。フランス領インドシナだった時代に、フランス人技師がベトナムの気候風土に合わせて洋館を建てたのだ。


2軒目は赤峰街にあるブックカフェ「浮光書店」。こちらは工場が多い下町という雰囲気だが、この辺に残るのはバロック建築。こういう日本人が関わったバロック建築も「日式建築」と呼ぶという。今見ると、日本の明治時代の洋館ぽいものもある。

工場が並ぶ中、ある洋風建築の手すりに目が行くハルさん。ハリーさんにズームしてもらうと、「手すり子」という支柱部分に装飾が見られる。また、カフェの建物の入口には鉄格子があり、これまた「鉄窓花」と呼ばれる素敵な装飾が。

2階のカフェ「浮光書店」は築70~80年。以前は住宅だった。ロフト部分は鉄骨で補強されている。床は「磨石子(マースーズ)」という人造石を研ぎ出した石材で、かわいらしい花の模様があしらわれている。こういうの、タイル愛好家にも人気が出るんでは。


台湾の古い建築に興味を持ったのは、テレビの台湾旅番組で背景に映るレトロ建築を見たのがきっかけ。コロニアル建築がこんなに残っているとは。いつかベトナムと台湾で、建築巡りをしたいなあ。

 

「静心苑」は、こちらの「台北ナビ」サイトが詳しい。

https://www.taipeinavi.com/miru/496/

「浮光書店」は、こちらのブログが詳しい。

http://taitaibooks.blog.jp/archives/8023289.html

 

【自分用メモ】
番組に登場した他の建築。
・総統府(旧台湾総督府)(1919年)の洋風建築
・旧公設西門食料品小売市場(1902年)
 縁起のいい八卦をイメージして通称「八角堂」


台北にある日式建築の本 

台北・歴史建築探訪ー日本が遺した建築遺産を歩く

台北・歴史建築探訪ー日本が遺した建築遺産を歩く

  • 作者:片倉 佳史
  • 発売日: 2019/03/20
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)