建築の島

建築とマンホールデザインのブログ

シャーロック・ホームズの建築

シャーロック・ホームズの建築』
北原尚彦 文/村山隆司 絵・図  エクスナレッジ

 

先月の『英国建築の解剖図鑑』に続き、英国の建築を解説した本です。

ただの建築本ではありません。なんと、コナン・ドイル原作の「シャーロック・ホームズ」シリーズに出てくる建築について、外観と間取りをイラストで紹介しているのです。

 

実は私、海外のミステリが大好きでして。
それも英国の古典ミステリが三度の飯より好き。
もう、「シャーロック・ホームズ」と「建築」なんて、夢のような組み合わせです。
シャーロック・ホームズを語ると止まらないので、今日はやめておきましょう。

 

本書では「シャーロック・ホームズ」の小説の内容にふれています。ネタバレを回避するよう、ものすごく配慮されていますが、先に小説を読んでおいた方が分かりやすいでしょう。ストーリーの展開に関わる部分も多いので(回し者ではありません)。

間取りを考える際に、日本でも放送されたグラナダTVシャーロック・ホームズの冒険」や、BBC「シャーロック」と比較・検討しています。小説の間取りには矛盾点もあり、本書ではそれを解消するべく、色々と提案や新解釈をしています。

たとえば「ベイカー街221B」は、ホームズと友人ワトスンの住む下宿。小説の時期によって描写が違い、どうしても(いや、コナン・ドイルのせいだけど)矛盾が生じる。そこで、途中で「リフォームを行った」説を提案し、リフォーム前とリフォーム後の2つの間取りを紹介しています。建築という観点で小説とドラマを見返すと、再発見もありそうです。

本書で取り上げられている建築の多くが「〇〇屋敷」「〇〇館」のような名前のついたお屋敷です。「名探偵ポワロ」もそうですが、事件が起こり、名探偵が呼ばれるのは、だいたいがお屋敷です。中には地方にある「マナーハウス(領主館)」も。登場人物は貴族やお金持ち、そして使用人。

『英国建築の解剖図鑑』を参考にしながら、「〇〇様式の建築」を確かめるのも楽しいでしょう。あるいは、隣に小説を広げ、登場人物の動きを追うのも楽しいでしょう。

 

それと、本書を是非とも英語に翻訳して頂きたい。
そうです、逆輸入です!
きっと、海外のミステリマニアも喜ぶことでしょう。

 

【追記】

2022年7月24日~7月30日まで、村山隆司さんの原画展を開催。

会場はなんと、銀座の「奥野ビル」(記事はこちら)。

koten-navi.com

 

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