建築の島

建築とマンホールデザインのブログ

台湾のレトロ建築本

台湾のレトロ建築本を急に見たく(読みたく)なって、図書館で借りてきた。写真が素敵だったので、後で買おう。

『台湾レトロ建築案内』
文・写真 辛永勝・楊朝景/翻訳 西谷格/エクスナレッジ

『台湾名建築めぐり』
文・写真 辛永勝・楊朝景/翻訳 小栗山智/エクスナレッジ

 

著者2人は、台湾にあるレトロ建築ファンクラブ「老屋顔」をFacebookで運営しているという。台湾でも、再開発のために古い建築が取り壊されているが、最近ではそれを惜しんで、リノベーションして保存・再利用する動きが出てきている。

日本統治時代の「日式」と呼ばれる建築だけでなく、シンガポールなど海外で成功した人が故郷に錦を飾るように建てた洋館、中国福建省から渡ってきた客家の建築、戦後に建てられた洋館など、様々な建築が紹介されている。

一部の洋館は、正面の中央部分が高い様式で「なんだかオランダで見た建物に似ているなあ」とぼんやり思っていたら、かつてオランダが台湾を統治していた時代の話が出てきた。もしかしたら、オランダ建築の影響を受けているのかも。

 

      オランダではこんな風に、中央部分が高くなっている
  (写真はネットで見つけたもの)


鉄窓花と呼ばれるデザイン性の高い窓飾り、人造大理石、タイルなどにも注目し、職人さんにもインタビューしているのが心憎い。

再生の仕方がどれも素晴らしく、ある建物の赤い手すりにキュンキュンしてしまった。

私は台湾にはまだ行ったことがないのだが、なぜか「なつかしい」という言葉が何度も出てきた。一族にも、戦前の台湾を訪れたことがある者はいないのだが。もしかしたら前世で、こんな建物に暮らしていたのだろうか。


台北・歴史建築探訪 日本が遺した建築遺産を歩く 増補版』
片倉佳史/ウェッジ

 

軽い気持ちで取り寄せたら、400頁の分厚い本だったので驚いた。1895~1945年とあり、紹介されている建築も数百軒にのぼる。メジャーな建築以外にも、洋館、和風建築、寺院など各種マイナーな建築も扱っている。

リノベーションされて現在も使われているところが多く、カフェなどの公共空間や、学校、博物館などもある。中にはセキュリティ面で「よく取材、掲載できたな」という場所も。「ふるカフェ系ハルさんの休日 台湾篇」(こちら)で紹介された「浮光書店」と「静心苑」も載っている。

先祖の建物を受け継いだ所有者、かつての引揚者(学校の卒業生など)にも話を聞いており、歴史が垣間見える。台湾でも日本と同じく、古い建築は壊して新しく建てた方が安上がりなのだが、古い建築にしかない独特の味わいや雰囲気を気に入って、あえてコストのかかるリノベーションを選んだ所有者も少なくない。


とにかく予想していたよりも数が多いので、もし台湾に近代建築を見に行くとしたら、入念に下調べして、かなり的を絞らなければならない。日本国内のようにフラッと気軽には行けない。近代建築ツアー、ないかしら。

 

録画しておいた「マツコの知らない世界」の「台湾夜市」の回をようやく視聴。案内人は大学時代は工学部専攻、卒業後は建築事務所経営とのことで、おそらく当初は建築目的で台湾に行ったのではと思われる。昭和キッズのマツコともども「懐かしい」という言葉を連発。やはり日本統治時代の名残があるのと、いくら壊された&再開発されたと言っても、日本と比べて昔のものがうまく残されているからでは、とのこと。


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